2021.07.28

練習での疲労を翌日に持ち越さない意識が大切

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今年2月に、青山学院大学陸上競技部 長距離ブロックのコーチに就任した伊藤雅一さん。伊藤コーチは青学出身で、2年時にマネジャーに転向し、4年時には主務としてチームを支え、箱根4連覇に貢献しました。

卒業後の3年間は、青学をサポートしていることでも知られるスポーツモチベーションに所属し、フィジカルトレーナーとして活動。トレーナーの仕事に興味を持ったのは、大学生のときだったそうです。伊藤コーチが大学1年生のとき、ちょうど原監督がフィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一さん(スポーツモチベーション)を招聘し、“青トレ”と呼ばれるトレーニングを作り上げていくタイミングだったのです。

「走る以外の部分のトレーニングやコンディショニングをサポートして、レースでの結果につなげる。近くで見ていて、こんな面白い仕事があるんだなと思ったのがフィジカルトレーナーを志したきっかけでした。大学生時代のマネジャーとしての経験、3年間のトレーナーとしての経験を活かしながら、原監督を支えていけたらと思っています」

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久しぶりの毎朝5時半に起きる生活に戻ってきた伊藤コーチ。選手が走っている様子をしっかりと見て、調子を聞きながら、選手に寄り添ったアドバイスをしていきたいと言います。そして、選手たちに走る以外の部分、睡眠、食事、ケアの大切さを改めて伝えていくのも自身の役目だと感じています。

「睡眠、食事、体のケアの重要性は、さまざまなスポーツに共通する部分ですが、体ひとつで勝負する陸上競技、特に長時間動き続けることが求められる長距離走にとっては特に大切だと思います。同じケガでもコンタクトスポーツは相手選手との接触時に起こる外傷が多いのですが、長距離走の場合は一定の動作の繰り返しで特定の部位が酷使されることで起こる故障がほとんどです。なので、毎日の練習での疲労をどう抜くかがケガをしないための大きなポイントになります。1日の疲労によるマイナスがたった1点でも、リカバリーできずに積み重なって行ったら100日後にはマイナス100点。これでは質の高い練習ができないですし、故障を招きやすくなります」

競技レベルが上がるほど練習だけで強くなることは難しく、練習以外の部分の質を高めることがより大切なのだそうです。

「1日の疲れを十分に抜いて翌日も良い練習をするためには、睡眠の量と質が大切です。体に合った寝具を使う、就寝前のブルーライトを避ける、入眠に向けてのルーティーンを作る、ストレッチやモビライゼーションと呼ばれる動きで筋肉や関節を緩ませてリラックスするといったことに取り組めば、睡眠の質が大きく向上すると思います。僕も経験があるのですが、柔らか過ぎるマットレスを使うと、沈んだ部分に体圧が集中するせいか、起きたときに背中や腰が張ってしまっていることがあります。その点、ライズのスリープオアシスは体が沈んでしまう心配がありません」

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また、眠ることと同じように食べることも非常に重要。栄養が不足していると、体を作るためにトレーニングをしているのに、筋肉が減ってしまうことがあるのだそうです。

「長距離走だと長期の合宿期間中に起こることがあります。人間の体を動かすエネルギー源となるのは主に糖質と脂質です。ゆっくりとしたジョギングの場合、糖質と脂質が使われる割合は大体5:5だと言われています。走るスピードを速くして運動強度を上げると、糖質の消費が優位になっていきます。それで糖質が体内で不足した際に、脂質を利用してくれたら良いのですが、体は筋肉を分解して糖質を補填していきます。脚力強化のために走り込んだのに、糖質不足だと脚の筋肉量を減らしてしまう可能性があるんです」

いくら練習を積んでも、リカバリーができなければオーバーワークになってしまうリスクがあります。だからこそ、大学生レベルで結果を残していくためには、コンディショニングに真剣に取り組む必要があると伊藤コーチは言います。

「強くなるためには、自分の体のことを知って、自分に合ったコンディショニング方法を見つけることが大切です。それを見つける手伝いもできたらいいなと思っています」

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