2018.02.26

【全6回連載】自然のリズムを取り戻し、健康睡眠へ ~日本の統合医療の第一人者・山本竜隆医師が語る健康睡眠~ 第5回

第5回 田舎型統合医療の力

健康的な生活を送るために必要な“質の高い睡眠・健康睡眠”には、寝具だけではなく、1日24時間の過ごし方をデザインすることが大切です。日本の統合医療の第一人者・山本竜隆医師によると、この1日24時間の過ごし方には、“自然のリズム”を取り入れることがとても大切だそうです。都会での暮らしはつい自然のリズムを忘れがちです。そこで山本医師がオススメする自然のリズムの取り戻し方をご紹介。全6回の第5回です。
 
第4回では、山本医師が富士山静養園・日月倶楽部を作ったきっかけや、今どのような生活を送っているのかについてご紹介しました。今回は、山本医師が行っている田舎型統合医療の素晴らしさについてお伝えします。

山本竜隆

日本の統合医療の第一人者・山本竜隆医師

都市型統合医療と田舎型統合医療の違い

一般的に、統合医療とは現代西洋医学と東洋医学を合わせたものです。この統合医療には、大きく都市型と田舎型の2つがあります。
都市型統合医療は、現代西洋医学の医者、自然療法をはじめとする東洋医学の医者が英知を合わせ、一人の患者を治療するという、いわゆる医療機関の中で行う治療を意味します。
一方、田舎型統合医療は、地域のコミュニティの力や自然の力を活かし、身体の中から変えていきます。
 
キューバの初代家庭医学博士のプレソン氏によると「医学は人の健康の8%しか決定していない。残りを決めているのは家族、コミュニティ、環境」とのこと。また、日本の家庭医学の先駆けである、長野県の佐久総合病院創設者の故・若月医師も、「村で病気とたたかう」という本の中で「医者は単なる技術者であってはならない。知識と技術だけではだめ。従来の医者はあまりにも生物学すぎた。もっと人間的・社会的感覚をもってください」とおっしゃられています。
さらに、WHO(世界保健機関)は、健康は個人の努力では実現できず、健康を支える生活環境を作ることが大事だと宣言していることからも、田舎型統合医療の必要性が世界で注目されていることがわかりますね。

田舎型統合医療の具体例

リストラにあい、将来の不安から眠れなくなった40代の男性のお話です。
男性には3人の子供がいて、生活費や教育費のことで鬱状態になったそうです。最初は睡眠薬を飲んでいたそうですが、まったく解消されず、自殺を考えるようになったとき、いきついたのが山本医師のおこなっている田舎型統合医療でした。都市型統合医療の場合、西洋医学的観点でどういった薬がいいのか、自然療法の観点でどういったハーブがいいのか、といった話になるそうですが、田舎型統合医療の場合は違います。まずはその男性に仕事を与えたそうです。道の駅で週3回、学校の用務員を週1回、林業を週3回と地域の人みんなで仕事を考え、その男性をサポートしました。給料は都会で働いていたときの7割ぐらいにしかならなかったそうですが、その男性はみるみる元気になっていったそうです。

田舎型統合医療の今回のケースでは林業など地域の中で仕事を作ることで男性をサポート

田舎型統合医療の今回のケースでは
林業など地域の中で仕事を作ることで
男性をサポート

田舎型統合医療とは

「本当の意味の統合医療とは、医療と社会を合わせたものだと思う」と語る山本医師。日本では処方箋というと薬ですが、ヨーロッパでは社会的処方箋というものもあるそうです。地域のコミュニティの中で地域の力、自然の力を活かすことで患者を救っていくというものです。前述の男性の場合は、彼には仕事を与えることが一番いい治療法だと考え、地域の中で仕事をコーディネートすることで、彼を治療していったのです。
山本医師はご自身が携わられている田舎型統合医療について、最後にこう語りました。「病気になると病院にいくのは世界で言うと少数派の考え方です。プレソン博士がいうように病気の原因の92%は環境的な要素だと思います。環境面が大きいのであれば、地域の中、自然の中で過ごして、身体の中から変えていくのが一番いいと思います」。

次回は、いよいよ最終回です。山本医師のように自身の生き方を考え、「自然のリズムに沿って生きるために、地方で暮らす」という決断をするのはなかなか難しいですよね。そこで、次回は都会に暮らしながらも自然のリズムを取り戻す方法についてお伝えします。3月上旬更新予定です。お楽しみに!

<バックナンバー>