2017.12.18

【全6回連載】自然のリズムを取り戻し、健康睡眠へ ~日本の統合医療の第一人者・山本竜隆医師が語る健康睡眠~ 第1回

第1回 原因不明の身体の不調。その原因、“自然欠乏症候群”かも?!

健康的な生活を送るために必要な“質の高い睡眠・健康睡眠”には、寝具だけではなく、1日24時間の過ごし方をデザインすることが大切です。日本の統合医療の第一人者・山本竜隆医師によると、この1日24時間の過ごし方には、“自然のリズム”を取り入れることがとても大切だそうです。都会での暮らしはつい自然のリズムを忘れがちです。そこで山本医師がオススメする自然のリズムの取り戻し方を全6回に渡ってご紹介します。
 
第1回は、「原因不明の身体の不調。その原因、“自然欠乏症候群”かも?!」です。“自然欠乏症候群”とは一体どんなものなのでしょう?なんとなくだるい、憂鬱、集中力がない、なんとなくイライラする、眠れないなどの症状がある方は必見です!

山本竜隆

日本の統合医療の第一人者・山本竜隆医師

自然欠乏症候群CHECK!

突然ですが、次の項目のうち、あなたはいくつ当てはまりますか?
 
□ 日の出と日没を意識して生活している(日の出前に起床し、日没から4時間以内に消灯している)
□ 木材など自然素材の住宅に住んでいる
□ 静寂さや、自然の音などを感じやすい場所で活動している
□ 自然の香りを実感しやすい環境で活動している
□ 自然素材の衣服を着ていることが多い
□ 自分の足で歩くことが多い
□ 長時間の自動車運転や電車通勤(通学)をしていない
□ 主に自然食を摂取し、化学薬品は摂取していない
□ 飲料物は、自然水や有機栽培などで作られたものである
□ 日常的に森林浴、海水浴、日光浴などをしている
 
これは、山本医師が考案された「自然欠乏症候群セルフチェックリスト」です。
 
8個以上 …自然と一体化した素晴らしい生活習慣です
5~7個 …そろそろ自然が足りないかもしれません
4個以下 …あなたは今、自然欠乏状態になっています
 
いかがでしたでしょうか?外食が多い、夜更かしをしがちといった方などはチェックの数が少なかったのではないかと思います。
では、この耳慣れない「自然欠乏症候群」とは一体何でしょう?

自然欠乏症候群とは?

自然欠乏症候群とは、自然との関わりが少ないほど、生活習慣病や慢性疲労、不眠など、さまざまな病気の発症率が高くなるという症状です。
今から約2,500年前、医学の父・ヒポクラテスが「自然から遠ざかるほど病気に近づく」という言葉を残したり、作家・リチャード・ルーブさんが2005年に出版した著書『あなたの子どもには自然が足りない』の中で自然欠乏症候群について提唱するなど、実は世界的には自然欠乏症候群は広く知られている症状です。
例えば、環境を改善することで患者の精神状態の改善を図る、フランスの「ミリューセラピー」という治療法で重視される5つの場の設定のうちの3つが、自然に関わる項目(時間の経過を感じられる自然、自然の循環が感じられること、五感を刺激する自然)になっているのも、これらの重要性を示していると考えられると山本医師はおっしゃっています。
日本では、山本医師が『自然欠乏症候群
~体と心のその「つらさ」、自然不足が原因です~』
という本を執筆されるなどし、少しずつ関心が高まってきています。

自然欠乏症候群 ~体と心のその「つらさ」、自然不足が原因です~

日本のアブナイ現状

もともと人間は、太陽の動き、月の動き、四季といった自然のリズムの中で生きてきました。しかし、残念ながら現代人の生活スタイルは、自然のリズムを無視したものがほとんどです。
例えば、朝は遮光カーテンで日を浴びず、化学物質で顔を洗い、電車に乗って出勤。1日のほとんどをパソコンの前で過ごし、食事はコンビニ食。塩素入りのお風呂に入り、夜遅くまでスマートフォンを触り続け、就寝…。
この生活スタイルには、心当たりがある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
 
さらに今の日本では、自然との関わりが少ないことを指し示すかのように驚きの出来事が起こっています。
・小学5年生~中学2年生の約50%が日の出・日没を見たことがない。
(神奈川学園が2004年にとったアンケート結果より)
・一度も蚊に刺されたことがない親御さんが、子供が蚊に刺されただけで救急に来る。
・キャンプでたき火をしようとして、ライターで丸太に火をつけようとする。
・魚の絵を描くように言われたら、切り身の絵をかく。
…等
 
「日本人は、大丈夫なの?!」と、思わず考えてしまう状況です。
山本医師によると、この日本の現状とメンタル疾患の患者が急増していることを鑑み、ようやく日本の学会でもメンタルと自然の関係の深さについて注目されだしたそうです。


次回は、「自然のリズム」についてもう少し深堀りしていきます。

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