2018.01.08

【全6回連載】自然のリズムを取り戻し、健康睡眠へ ~日本の統合医療の第一人者・山本竜隆医師が語る健康睡眠~ 第2回

第2回 自然のリズムに合わせて生きる

健康的な生活を送るために必要な“質の高い睡眠・健康睡眠”には、寝具だけではなく、1日24時間の過ごし方をデザインすることが大切です。日本の統合医療の第一人者・山本竜隆医師によると、この1日24時間の過ごし方には、“自然のリズム”を取り入れることがとても大切だそうです。都会での暮らしはつい自然のリズムを忘れがちです。そこで山本医師がオススメする自然のリズムの取り戻し方をご紹介。全6回の第2回です。
 
本来、人間は、太陽や月の動き、四季の移り変わり、1日24時間のサイクルなど、自然のリズムの中で生きてきました。今回は、「人間の身体と自然のリズムについて」深堀していきたいと思います。

山本竜隆

日本の統合医療の第一人者・山本竜隆医師

東洋医学と自然のリズム

山本医師が携わっている“統合医療”。一般的に“統合医療”とは、現代西洋医学と東洋医学を合わせたものです。
中国では古来より、自然界は陰陽五行・木火土金水(もっかどごんすい)で巡っている、という思想があります。例えば、相生の関係(相手を生み出していくプラスの関係)では、「木」があれば「火」が良く燃え、「火」が燃えた後に良い「土」ができ、良い「土」の中からは良いミネラル(「金」)がとれ、良いミネラルからは良い「水」が生まれ、良い「水」があるところには良い「木」が生える、と巡るという意味になります。東洋医学では木火土金水と同じように、人体にも肝心脾肺腎(かんしんひはいじん)という関係があることから、人間の身体は自然界の一部であるという考えのもと、山本医師は「自然のリズムに合わせて生きることがとても大切だ」とおっしゃっています。

山本医師が運営する日月倶楽部

なぜ自然のリズムに合わせて生きることが大切なのか?
それは第1回でもお話したように、自然のリズムから逸脱した生活を送ることで身体に不調をきたす、自然欠乏症候群になる危険性があるからです。山本医師が、日本初の滞在型ウェルネスリゾート・日月倶楽部を富士山の目の前に開業された理由のひとつも、自然のリズムを意識しやすい場所という点にありました。

“レイライン”という言葉はご存知でしょうか。レイラインとは、Ley
Line、つまり光の線という意味です。春分の日、秋分の日という太陽の起点となる日に、富士山や寒川神社、元伊勢、出雲大社などの聖地が1本の直線でつながるというもの。日月倶楽部はこの富士山の目前にあるため、春分の日、秋分の日、夏至、冬至(富士山の頂上から日が昇る)といった四季の移り変わりを意識しながら過ごしやすいそうです。さらに1年中、富士山から太陽が昇り、沈むまでを眺めることができるため、太陽の動きや1日24時間のサイクルを意識しやすいのです。

日月倶楽部の目前にある富士山

日月倶楽部の目前にある富士山

月と植物と人間の身体

実は植物の水分保有率は、満月の時に最高潮になります。このため、満月から新月の間に切ることで、材木の持ちがよいそうです。
1600年代のヨーロッパでは、なんと月の動きによって材木用の木を切る時期が法律で決められていました。
また、植物の水分保有率が月の動きに左右されるように、私たちの身体も月と密接な関係があると言われています。例えば女性の月経や肌のサイクルは月と同じ28日周期です。このため、セラピストの方々が意識する自然のリズムのひとつに、月の満ち欠けを示す“月齢”と言われる月の動きがあります。身体のバイオリズムを月の動きに合わせ、デトックスに良い日、英気を養う日などを決めるそうです。

次回は、いよいよ睡眠について。人間の身体は自然界の一部、自然のリズムのひとつが体内リズムといっても過言ではありません。そんな体内リズムと睡眠の関係についてご紹介します。

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