2022.08.04

イメトレは、3打席先の球種と位置まで。山根佐由里は出場予告なしの代表戦でも戦える力をどうつけたのか

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本特集企画「決戦前夜~眠れない夜の裏話~」では、アスリートやスポーツ指導者などの「決戦前夜」に迫ります。

第16回のゲストは、ソフトボール元日本代表の山根佐由里さん。2010年・2014年・2016年の三度、日本を背負って世界選手権で戦いました。その中でも最も緊張した試合が、2014年の世界選手権決勝だそうです。

“上野由岐子さんの次のピッチャー”として「絶対に勝たなければならない」プレッシャーの中、どのように準備されていたのでしょうか?彼女の臨機応変な対応力の基礎となった取り組みについても伺いました。

 

「出場を知るのは当日」だった2014年の世界選手権

ーソフトボール日本代表として、現役時代に最も緊張した試合を教えていただけますか?

2014年の世界選手権決勝トーナメント初戦が印象に残っています。上野由岐子さんが先発で投げていて、7回からマウンドを引き継ぎました。これまでの世界選手権で、上野さん以外の選手はほとんど決勝トーナメントで投げたことがなかったんです。世界一を決める舞台は初めてだったので、とても緊張しました。

リードしていたこともあり、チームの雰囲気もよく、いつも通りの力を出すだけだったのですが……日本代表の緊張感はすごかったです。

ー登板について事前に聞いていたのでしょうか?

聞いていなかったです。当時の代表では、先発投手は当日に発表されていました。誰が出るかはわからない状態。常に準備はしていました。

2012年の世界選手権では代表から外れてしまったので、「今度こそ結果を残そう」とやる気がみなぎっていたんです。眠れないほどではありませんでしたが、前日の夜も「明日世界一が決まるんだ」と興奮していました。

眠れなかった試合は、実は直近にもあります。

ーそれはどの試合ですか?

選手としてではなく、解説を担当させていただいた東京オリンピックの初戦です。13年ぶりに追加種目としてソフトボールが帰ってきたことが、本当に嬉しくて。「やっとオリンピックの舞台が見れる」と思うと、込み上げてくるものがありました。前日の夜はそわそわして眠れなかったですね。

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いつ代表に呼ばれても戦える力がついた

ー普段から意識したり、取り組まれていたことはありましたか?

実業団(トヨタ自動車)の試合では、ローテーションに応じて自分が先発する日を予測できるので、あらかじめ考えた戦略をキャッチャーに伝えていました。対戦相手のバッターを想像しながら、9人×3打席分の投げる球種とコースを全て書き出して渡していたんです。トヨタ自動車に移籍してから、2年間ぐらい続けていました。

ー始めたきっかけは?

キャッチャーの先輩が、「(自分が)考えていることをしっかり伝えなさい」と教えてくださいました。キャッチャーの言う通りにやっているだけでは成長しない、と。

最初は考えるのに時間がかかりましたが、徐々に頭でイメージできるようになり、最終的には30分ぐらいで思いつくようになりました。

ー試合当日は、その通りに進めていくのでしょうか?

そうですね。配球表は前日の夜と当日試合会場へ向かうバスの中でも見直して、「これで投げれば大丈夫」と言い聞かせて挑んでいました。

試合では、私の作成した配球表とキャッチャーの考えを照らし合わせて、キャッチャーがサインを出してくれました。1巡目は書いていた通りの配球で、2巡目以降はバッターの様子を確認しながら、配球表と試合現場での状況・感覚を常に話し合って組み立ててもらっていました。

ー自分自身で考えることを積み上げてきたからこそ、代表で突然出番が来ても戦えるようになったのですね。

とてもいい練習になりました。代表では、いざ出場したらその場で話し合ってプレーしなければなりません。「こう投げられると楽だな」「ここは見逃してくれるな」「ここへ投げてダメなら、こういうふうに攻めてみよう」とすぐに判断できるようになったと感じています。

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選手が発信し、ソフトボールを広げていくべき

ー先ほど「東京オリンピックの解説が緊張した」というお話もありましたが、やはりオリンピックは特別な価値や重みがあるのでしょうか?

メディアの注目度が全然違いますね。世界選手権で優勝して帰国しても、空港に記者の方はほとんどいません。一方、オリンピックになるとメディアの方々に加えて、ファンの方が横断幕を作って迎え入れてくださることもあります。

今回の東京オリンピックも、「ソフトボール、優勝してよかったね」とたくさんの方から言っていただきました。やはり影響力が違うな、と。これまでソフトボールをあまり知らなかった方からも、「上野さんってまだ現役なんだ!」と反応があったり、反響の大きさが素直に嬉しかったです。

ーしかし2024年のパリオリンピックでは再び、種目から外れてしまいました。この先、ソフトボール普及に必要なことはどんなことだと思われますか?

選手自身がもっと発信していく必要があると感じています。メディアが取り上げてくれるのを待っているばかりだと、いつまでも変わりません。せっかく日本は強いのだから、若い世代を巻き込みながらアピールしてほしいですね。

ー山根さん自身も、noteを書かれていますね。

「東京オリンピック、こんな感じだったね」などと思い出すきっかけになれば良いなと思っています。自分自身の記憶としても、残していきたくて。

山根さんのnoteはこちら

ー最後にあらためてソフトボールの魅力を教えてください。

ソフトボールはいろいろなポジションがあって、それぞれのポジションを活かせる競技です。私は守備が苦手ですが、ピッチャーとして頑張ることができました。打つのが得意なら代打で活躍できますし、守備が得意ならここぞという時に守備へ投入されることもあります。自分の強みを活かしてプレーできるソフトボールの魅力を、もっと多くの方々へ届けていきたいです!

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